「非日常/日常」の境目を、食を通じて考える

震災から2年。
東日本大震災は、私たちの価値観や生活スタイルを再考させる大きな出来事でした。

そんな中、生活工房15周年記念事業として開催された「日常/非日常展〜世界の明日につながるデザイン」。

ポスター

私たちフードデザイナーズネットワークは、展示の一環として、「もしもの食」をテーマにしたフードやドリンクが味わえるカフェを3月中の土・日・祝日、7日間限定で三軒茶屋にオープンしました。名付けて、非常食カフェ「もしも」です。DSCF1369_mini

震災を機に、非日常と日常の境目が曖昧になってきたように感じます。そして、それぞれの状況において、必要とされるデザイン。多様に変化する現代社会において、一人ひとりが何を考えて、何について備えるべきでしょうか?私は食とデザインの力で、そんなことを「考えるキッカケ」になれば、という思いで参加を決めました。

プロジェクトは、まず、チームの顔合わせから始まりました。
本プロジェクトは越境型フードデザインと定義され、食とデザインに興味がある有志の大学生6名が集まりました。(私以外、全員美大生だったのですが、普段、接する機会がほとんどないため、全てが真新しく感じました。)

「カフェの名前、どうしよっか?」
「どんなカフェにしたい?」

というコンセプトメイキングから始まり、カフェ全体のレイアウトや小物作り、メニューの構想まで、それぞれの得意分野を分担しながら、1から作りました。私はメニューづくりを担当したのですが、そもそも非常食と保存食の違いが分からなかったり、非常食を食べた事がなかったため、恥ずかしながら「知る」というところからスタートしました。

☆メニュー考案&試食中

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☆レイアウトのメインである乾物のカーテン(乾物を作るところから始めました)

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☆レセプションパーティー

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<工夫した点 その①>

私のように、そもそも非常食を食べた事ない人にとって、非常食を身近な存在にしたいという思い、また一般的に存在する「非常食=美味しくない」というイメージを払拭したいという思いから、体験型のカフェになるように工夫しました。百聞は一見に如かず、です。

☆非常食を日常で作る体験を通して、身近な存在にするために

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アルファ米を使ったチキンライス&乾物入り手作り味噌玉スープ。それぞれお湯を入れるだけ!

☆「非常食=美味しくない」というイメージを払拭するために378988_178518302296508_15115424_n

乾パンもクラムチャウダーの中に入れるとあら不思議!美味しく食べれちゃいます。

<工夫した点 その②>
メニューがある程度出来上がってきた頃に、それぞれのメニューは単独では分かりやすいけれども、並べてみるとバラバラしているように感じる、という問題に直面しました。そこで、私たちは「そもそもこの展示会の伝えたいことは何か?」というポイントに立ち返り、バラバラだったメニューを非日常のシチュエーションごとに分類しました。ここでは、メニューの一部をご紹介致します。

<もしも東京に大雪が降ったら>

ロングライフクラッカー チーズとスパイスジャム添え
味噌玉スープ 選べる乾物入り画像 014

<もしも山で遭難したら>

ドライフルーツぎっしりケーキ
アルファ米ごはん(日替わり)

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<もしも海で漂流したら>

お好み缶詰 クラッカーを添えて

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<もしも南極に転勤になったら>

フリーズドライあんこ餅
南極用フリーズドライフード

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<もしものときこそリラックス>

ホットコーヒー
サバイバルハーブティー

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さらにテーブルで非常食を食べながら、それぞれのシチュエーションを鮮明にイメージさせる仕掛けを作りました。まとめてアイデアを観れるのではなく、“瓶から取り出す”という行為が入ることで、お客さん自身でアクションを起こして、そこからコミュニケーションが生まれる、というものです。

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こうして1ヶ月間、誰にどんなことを伝えたいか?を考え続けました。お客さんにオーダーしてもらうことがゴールではなく、非常食に慣れ親しんでもらい、非日常は日常の延長線上にあるということを理解してもらう。そのために、ただ非常食の説明をするだけではなく、オーダーを受けるとき、フードやドリンクを出すとき、そして、お客さんが帰るとき、どの場面でもお客さんとの会話を大切にし、みんなで「食べながら考える」場づくりをしました。

「食」は、生きることそのもの、そして命をつなぐためのもの。日常でも非常時でも、そのことに変わりはありません。だからこそ、非常食を考えるには、ふだんの食生活そのものを考えることが必要になってくるのです。「もしも」を考えることは、「いつも」の暮らしを見つめ直すことであったと、私自身も学ぶことができました。

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詳しくは非常食カフェ「もしも」のFacebookページをご覧ください♪

Space design : Yuka Okada, Yuriko Nagashita

Menu : Wakana Yoshikoshi, Mako Nakae

Graphic design : Shoko Aoki

Service direction : Ryunosuke Nishimura

Written by Mako Nakae